宇宙のはなし
プラネタリウム
天体観測

vol.5

春の星座を探そう!
 今年で開館3年目を迎える加須未来館の周りでは、ス−パー堤防に草木が芽吹き、様々な花が咲き始めています。休日のお散歩日和に当館へ立ち寄られる方も増えてきている今日この頃です。
 春の暖かい空気に包まれるこの時期の夜、そんな地上の様子を、星空から春の女神が静かに見守っています。女神の名はデーメーテール(または正義の女神アストレイアとも言われています)。この農業の女神はギリシャ神話の中で、農作物をはじめとして大地から生まれ伸び出るものすべてを支配していました。この女神を形作っている星座が「おとめ座」です。おとめ座の左手には麦の穂が握られていて、その穂先にあたる明るい一等星はスピカです。日本のある地方では「真珠星(しんじゅぼし)」と呼ばれているように、海の底からとれた真珠の玉のように白く美しい星です。
 おとめ座の上には「うしかい座」があります。この星座絵のうしかいは、ギリシャ神話では天空をかついで支えている巨人:アトラスの姿だと言われています。大神ゼウスの一族との戦いに敗れた巨人族の一人であるアトラスは温良な性格なため、アフリカで頭と両手で天空を支える事になりました。その巨人が石化したために出来たのが、現在のアフリカの北西部にそびえるアトラス山脈と伝えられています。うしかい座のひざ辺りに輝く、オレンジ色の一等星はアークトゥルスです。春から初夏にかけて非常に目につく明るい星です。
おとめ座のスピカ、うしかい座のアークトゥルス、この好対象の二つの星を、日本では「春の夫婦星(めおとぼし)」と呼ばれています。興味深いことにアークトゥルスは、現在、秒速125qの猛スピードで、見かけ上、スピカの方へ移動しています。6.5万年後にはスピカのすぐそばにやってきてならび、本当に夫婦星として輝いて見えることでしょう。
 この二つの星の見つけ方は、北の空にある北斗七星を使います。北斗七星の柄のカーブをのばしてゆくと、うしかい座のアークトゥルスに、さらにのばしてゆくと、おとめ座のスピカにあたります。さらにのばしてゆくと、小さな四角形にあたります。ここにある星座が「からす座」です。嘘をついたカラスがその戒めとして星空にはりつけられているのです。北斗七星からからす座までのカーブは「春の大曲線」と呼ばれています。
 また、おとめ座のスピカ、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座の西隣りの星座「しし座」のデネボラ、この3つの星を結ぶと大きな三角形「春の大三角」ができます。「春の大曲線」とともに星座を見つける時の目印になります。
 星座がわからなくても、望遠鏡でいろんな方向をのぞいてみてください。春の星空には、二重星コルカロリ、帽子の形をしたソンブレロ星雲、おとめ座銀河団、かみのけ座銀河団など、おもしろい天体に出会えるかもしれません。春は出会いの季節。新生活に疲れたとき、ふと、星空を眺め、様々な星々と出会ってみませんか?


参考文献: 『星座の話』(野尻抱影/偕成社)
       『天文年鑑2003年版』(天文年鑑編集委員会/誠文堂新光社)
       『ポケット図鑑 四季の星座』(写真・監修:藤井旭、発行所:成美堂出版)

vol.1春の星座を探そう(2002)
vol.2夏の星座を探そう(2002)
vol.3秋の星座を探そう(2002)
vol.4冬の星座を探そう(2002)


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